今回は旅行先のフィンランドの首都、ヘルシンキで映画館に行ってきたのでそちらをレビュー。
日本国内とは映画鑑賞という体験への考え方が異なっているのが伺える仕様の館内。総じて特別感あるシアターでした。
まずトイレがかわいい。
カラフルなカラータイルの壁に、名女優のイラストと劇中の台詞が書かれたアートが飾ってあって、ハッピーな気持ちでスクリーンに向かうことができます。
お手洗いも済ませて準備は万全。いよいよスクリーンに入ると、そこはさながら小さなバー!
すべてのイスにミニテーブルがセットであって、ミニテーブルの上には小さな手元明かりも備え付けてあります。
この手元明かりが、鑑賞するときに目障りにならないかなと一瞬不安になりましたが、もちろんそんなことはなく、明かりは一度も気にせずに映画を楽しむことができました。
ミニテーブルがあるのもあって、シアター内は全体的に空間がゆったりめに取られていました。座席がバーッと一面にぎゅうぎゅうに広がっている日本のシネコンとは雰囲気がかなり違う。
自分自身は、映画館で映画を観るときはフードを食べたりしない派なのでこのテーブルは使わなかったけれど、映画を観ること以上に、娯楽の中の一つの体験として映画鑑賞というものを考えている人には、この設備があることで満足度がとても上がると思いました。
映像作品をより良い環境で届けたいという想いは日本も同じだけど、プラスでそれを娯楽の体験、イベントとして捉えて商機を見出している感じが、日本のシネコンとの違いだと感じました。
しかし私個人としては日本映画館の、作品へのストイックさというか、鑑賞というものに対して付加価値を見出しすぎない、ただ鑑賞という行い(行為)に対してストイックなのが好きです。
それは「余計なあれやこれがたくさんは無いとしても、楽しめるから大丈夫」みたいな、私たち観る者や作品への信頼でもあるのかななんていうのも考えてしまうから、余計に好きなのかもしれません。
ここで観た映画は音声はフィンランド語で、たしか字幕もどっかヨーロッパの言語だったので言語情報がゼロ。なんとなくすらも分からない、本当のほんとうに100%視覚情報のみで映画を観るのは初めての経験でした。
色んな初めてがあるから、映画どころじゃないような、浮かれた気分になるかなと思ったのですが映画鑑賞とは不思議なもので、スクリーンに作品が流れるのを眺めている時は日本もフィンランドも関係ないんですよね。
思いがけず、映画館で映画を観ることの意味や理由を思い出すことになりました。
やっぱりどこに行っても映画館はいいなぁ、という言葉で〆られるようになるまでにはまだまだ世界に映画館が溢れていますが、これからもぼちぼち自分の陣地を広げていくつもりで通おうと思います。